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意図的に名づけることから 〜 普段は見えていない関係性を見出す 〜

  • 執筆者の写真: HANDA Nobuyuki
    HANDA Nobuyuki
  • 3月17日
  • 読了時間: 4分

更新日:4月12日




日々の業務において、サービスや業務や作業、これらプロセスをよりよくするためには、まずその業務を構造的に捉え直すことがポイントになりますが、そのアプローチの

手法の一つとして、私たちは「意図的に名づける」という行為を通じて、これまで曖昧だったものを扱いやすいものへと変換してきました。

例えば、トヨタの「ジャスト・イン・タイム」は、単なる在庫管理の概念ではなく、生産と供給の関係性を明確に定義し、改善を進めるための強力な手法になりました。同じように、私共のコールセンター運用改善では、お客様対応の対話とシステム操作等を分解することで、必要なスキルの整理や定義、業務運用の精度向上が可能になりました。つまり、意図的にみて「名づけること」によって、曖昧な業務の境界線を明確にし、それを扱いやすくすることが可能になってくる。


「ない仕事」を生み出す視点

こうした意図的な名づけの力は、既存の業務プロセスだけでなく、新たな価値を生み出す試みとも深く関わっています。その好例として挙げたいのが、みうらじゅん氏のアプローチです。

彼は「ゆるキャラ」という概念を生み出し、自治体や企業のマスコットを新たな文化的現象へと昇華させました。これまで「公式キャラクター」といえば、洗練されたデザインが主流でしたが、「ゆるキャラ」というネーミングによって、親しみやすさやユーモアを付加し、新たな市場を生み出しました。

また、彼の提唱する「ない仕事」も興味深い視点です。例えば、「一見仕事に見えないこと」に対して積極的に名前をつけ、それを価値のある仕事として位置づける試みは、業務改善の視点にも通じるものがあります。仕事とは「最初から存在しているもの」ではなく、「創り出されるもの」である、という示唆は、私たちが日々の業務を見直す上で重要な気づきを与えてくれます。


名づけることで新たな視点を得る

私たちの事業活動においても、「名づけること」による効果は計り知れません。

  • 業務プロセスを分解し、スキルを明確化する(サービスとスキルの棚卸し)

  • 新たな概念を生み出し、価値を創造する(みうらじゅん氏の「ゆるキャラ」や「ない仕事」)

  • 業務の視点を変え、見えなかったものを見える化する(トヨタの生産方式)

このように、日々の仕事や社会の中で、意図的に名づけることで、関係性が再構築され、改善や創造の可能性が広がるのです。

「オイルショック」から「老いるショック」へ

みうらじゅん氏は、時代を映すネーミングの妙を数多く生み出してきましたが、その中でも「老いるショック」は秀逸です。かつての「オイルショック」が経済危機を象徴したように、「老いるショック」は自らの老いに直面したときの衝撃をユーモラスに表現した言葉です。

現代では、老いに関する話題が消費されるかのように取り上げられ、どのように老いを過ごすかが競われるような風潮があります。しかし、みうら氏はこの現象をあえてネーミングすることで、「頻尿」や「足腰の不自由」といった加齢の現実を笑いに変え、ポジティブな視点を与えてくれました。

この「名づけることで見方を変える」アプローチは、仕事の現場でも応用可能です。業務の困難な部分をただの問題として捉えるのではなく、新たな視点を持つことで、改善や挑戦の機会に変えるキッカケを作り出していく。


「名づける」ことがもたらす仕事の変革

私たちの事業支援においても、「意図的に名づけること」は重要な役割を果たします。例えば、業務改善の際に「このプロセスではなぜこの手法が用いられ、何を目的としているのか?」という問いを立て、それに対して適切な整理と名前を与えることで、関係者間の理解が深まり、課題が明確になります。

また、新規事業の立ち上げや組織改革においても、適切なコンセプトやネーミングを与えることで、新たな価値を定義し、組織の方向性を明確にすることが可能です。

このように、日常の業務や事業活動において「名づける」ことの重要性に意識を向けることで、見えなかったものが見え、扱えなかったものが扱えるようになる。そして、それが新たな発見や価値創造につながるのではないでしょうか。

私たちも、自らの業務において意図的に「名づける」ことを活用し、新たな仕事や社会との関係性を生み出していくことを大切にしたいと思います。

 
 
 

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