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「プロセスモニタリング」のススメ

  • 執筆者の写真: TOMOKO TAKESHITA
    TOMOKO TAKESHITA
  • 4月23日
  • 読了時間: 4分



私たちのコンサルティングでは、主にお客様の運用課題を明らかにすることを目的に、「プロセスモニタリング」を実施しています。この「プロセスモニタリング」とは、数日にわたって以下のステップを踏みながら行う、現場密着型の観察手法です。

1.オペレーターの隣に座り、いわゆる“サイドバイサイド”の形で応対業務に同席

2.電話応対の開始前から、終了後の後処理、さらにはその後の行動までをモニタリング

3.モニタリング中に湧いてきた疑問を、その場でオペレーターに直接質問

この一連の流れが、実に多くのリアルな情報をもたらしてくれるのです。


一般的なモニタリングとの違い

一般的なモニタリングでは、通話中の音声、つまり「応対開始から切電まで」に焦点を当て、定型のモニタリングシートに沿って評価が行われるのがほとんどです。

しかし、「プロセスモニタリング」は、その範囲を大きく広げています。

電話を受ける前の緊張した面持ち、ちょっとした咳払い、切電後のため息──そのすべてが観察の対象になります。つまり、通常のモニタリングでは見落とされがちな、業務の文脈やちょっとした所作・感情の機微まで拾い上げることができるのです。得られる情報量は、まさに桁違いです。


“その場”での“問いかけ”が肝

そして、この手法における最大のポイントは、「3.その場での質問」です。

私は応対を見ながら、感じたこと・疑問に思ったことをできるだけリアルタイムでオペレーターに共有し、問いかけます。

たとえば、

「滑舌、すごくいいですね。被りもなくて聞き取りやすいです!」

「スクリプトより、今の案内の方が分かりやすかったかもしれませんね(笑)」

といった応対スキルへのフィードバックをまずお伝えし、モニタリングに対する安心感を高めるようにしています。その上で、

「今、スクリプトにはなかった案内をされていましたが、どうしてですか?」

「このボタンは、いつ使うものなんですか?」

といった手順や判断の根拠について掘り下げる質問をしたり、

「このエスカレーションがルーティンなら、そもそもの処理の順番を変えた方がいいのでは?」

「あのSVさん、ちょっと気難しそうですね。声をかけづらくないですか(汗)」

といった、業務の構造や現場の空気感にも踏み込んでいきます。


本音がこぼれ出すとき

こうしたやり取りを通じて、オペレーターは次第に饒舌になっていきます。

「これ、スクリプトにはないけど、先に伝えないと再入電の可能性が高いんですよね」

「確かに、このボタン、触ったことなかったです!」

「あのSVさん、実はちょっと…」

──といった、応対業務やシステムに関する知見だけでなく、チーム内の関係性までもが言葉として現れてくるのです。こうなると、モニタリングは一方通行の「評価」ではなく、双方向のコミュニケーションに変わります。


「私もやってもらいたい」

そんな現場でのやり取りを見ていた周囲のオペレーターから、翌日にはこんな声が上がることもしばしば。

「私もモニタリングしてもらいたいんですけど…」最初は遠巻きに眺めていた人たちが、「自分の音声を聴いてほしい(というか、いろいろ話したい ←本音)」と自ら声をあげてくれるようになるのです。これは、プロセスモニタリングの大きな価値のひとつです。


リアルを知る唯一の方法

確かに、コンサルタントが得るべき最も重要な情報は、クライアントから受け取る各種データであることは間違いありません。

しかし、そのデータをバイアスなく、正しく読み解くには、クライアントが提供している「サービスそのもの」を、サービスの「受け取り手の視点」から、しっかりと理解する必要があります。

それを可能にするのが、プロセスモニタリングです。

ところが、世の中の多くのコンサルティングサービスでは、こうした現場の“肌感覚”をあえて避けて通っているように感じられる場面も少なくありません。

私自身、駆け出しの頃は「なめられてはいけない」と、自分に矢印を向けていました。

業界知識を詰め込み、組織構造を調べ上げ、MVVを頭に叩き込み──まるで戦場に出るかのように情報武装して現場に向かっていました。

しかし、そんな「勝手な解釈」の鎧を身にまとったままでは、クライアントのリアルや、現場の本音を引き出すことなど、到底不可能です。

むしろ、ある程度の“無知”を素直にさらけ出し、

「私はまだ分かっていない。だから教えてほしい」

という姿勢こそが、信頼を生み、対話を深め、真の改善アクションの構築に繋がるのだと思います。


おわりに:五感で感じる

いうなれば、プロセスモニタリングは、まさに「五感を使ったプリミティブな行為」と言えるかもしれません。現場の空気を肌で感じ、音に耳を傾け、表情を読み取りながら、、、シンプルだけど本質的です。

もし、あなたの現場に少しでも「変化のヒント」が必要なら──

一度、プロセスモニタリングを受けてみませんか?

 
 
 

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