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潮汐ロック

  • 執筆者の写真: HANDA Nobuyuki
    HANDA Nobuyuki
  • 6月30日
  • 読了時間: 3分

更新日:7月1日


”潮汐ロック" と言う言葉をご存知だろうか?

生成AIに問うと、以下の様になります。

 「潮汐ロックとは、天体の自転周期と公転周期が等しくなり、常に同じ面を相手の天体に向けている状態を指します。例えば、月は地球に対して常に同じ面を向けており、これは潮汐ロックによるものです。

潮汐ロックは、天体間の潮汐力によって引き起こされます。天体が互いに引力で引き合う際に、自転と公転の速度に差があると、潮汐力によってトルク(回転させる力)が生じ、自転と公転の速度が等しくなるまで、このトルクが働き続けます。結果として、天体は常に同じ面を相手に向けている状態になります。」



私が ”潮汐ロック" を改めて調べてみたのは、10数年前にある通販会社の創業オーナーとお付き合いがあった頃です。彼は一代で売上数百億の会社を築いた起業家ですが、その経営は松下幸之助他に見習い理念経営を目指し、組織や人材作りに邁進していた時期でありました。また彼は、創業オーナーと言う事もあり、通常の組織経営者に比して相当なパワーと影響力を持っていて、経営理念の名の下、社長の位置付けは”神聖にして侵すべからず” と言うほど、崇めるような関係性が厳然とありました。

社長とは多い時には月に一度食事をし、事業や経営について様々話をしておりましたが、中でも話題は社員の育成〜その仕事力の向上についてが多く、「ハンちゃん、なんで育たないと思う?」と、投げかけてくるのです。なので私の方も、この事について構造的に考える様になり、社員や幹部の方々のスタンスや心的状態、会議の仕方、発言や説明など、様々な場面から読み解けることは何か?これを彼に構造的に解説する必要に駆られ、ある時ふと閃いたのです、、


そう”潮汐ロック" な状態ではないかと・・・


意識する、しないに関わらず、彼の社員に対しての求め方(引力)が社員を硬直化させ、いつも同じ忠誠的な態度を望む様になってしまい、仕事力の発展を阻害しているのではないか?と。 これを得た後の食事会、、確か寿司屋のカウンターでこれを説明すべく”潮汐ロック" を紙に書いて説明を試みました。そうして、「社長は求めるあまり、一様な態度が組織立っている証左として日常風景となり、実はそれが、社員個々人の能力発展を阻害してるのでは?」と。なので、「社長のスタンスを変えない限り社員は育たないのではないか?」と、また「新たな価値を生み出す試みは、それまでの組織バランスからは逸脱する事の中から生まれるのでは?」と進言しました。


またこれを一般に考えた場合、皆さんも覚えがあるのではないでしょうか? 他の企業組織においても少なからず見られる現象で、部下に対して思うところや方向性を示さず、自分が望む様な事が示されるまで肯定的な態度を取らないことで、暗に部下をコントロールしようとする姑息な手段って、多かれ少なかれやってしまっている。下手をするとこれが上司力と勘違いしている方々が結構いらっしゃるのではないかと。(私自身も覚えがあります)


多くの創業オーナー経営者は、事業を成功させた稀有な才能を持っていますが、組織作りに同様の才能がある経営者はごく僅かしかいない事をなかなか理解出来ない。組織作りや人の育成支援は、商売を当てる才覚と全く違い、マネジメントの基本を学び、自らが真摯な態度に脱皮しないと出来ない事ではないかと思います。(つまりは良い仕事へのチェンジ)


怖いのは「事業の成功」は、自らを「成功者」として位置付けてしまう落とし穴があり、組織作りや人の支援には、成功者ではなく、真摯なマネジメントによってのみ導かれるものなのではないか。そもそも、人間に「成功」などある訳もなく。 (編集済み) 



 
 

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