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問いを置くか、仕組みを整えるか

  • 執筆者の写真: タッキー
    タッキー
  • 1月26日
  • 読了時間: 4分

現場で学んだ“順番”の話


私はBtoBの飲食業界向けに、飲食店の販促を支援する媒体の中で、ネット予約機能の活用推進に携わっています。

現場に近い立場でチームをまとめ、戦略を踏まえて戦術を設計し、現場を動かす役割を担っています。


今期、担当するサービスに新しい機能がリリースされました。上期は一部顧客でのテスト導入、下期は全国展開という流れです。正解が見えにくく、状況が次々に変わるフェーズだったと思います。こうした不確実な状況の中で仕事をしていると、日々の判断に迷う場面も少なくありません。マネジメントや業務改善について考えるとき、「人が大事か」「仕組みが大事か」という思考に行き着くことがよくあります。私自身も以前は、どちらが正しいのかを考えていました。ただ今期の経験を通じて、その問いの立て方自体が少し違うのではないかと感じるようになりました。


人の力がある環境では、問いが判断を揃える


その中で、自分のチームはどの段階でも先頭を走れているという実感がありました。私が意識していたのは、進め方を細かく決めることではなく、マネジメントにおける「問いの置き方」でした。テスト導入の段階では、「どう説明するか」「どう売るか」を決める前に、「この機能で一番守るべき価値は何か」という問いをチーム内で共有しました。手順や正解を渡さなくても、この問いがあることで、メンバー同士が判断基準をすり合わせ、自分たちなりの進め方を考えるようになりました。全国展開に入ってからも、「その判断は価値を守れているか」という問いに立ち返ることで、状況が変わっても判断がブレにくくなったように思います。


ただ、実際にはこの問いがうまく機能せず、チームが一度立ち止まった場面もありました。問いが抽象的すぎて、かえって判断に迷いが生まれてしまったのです。そのときは、「ここまでは守る」「ここから先は考えなくていい」という形で問いを具体に落とし直し、再び前に進める状態をつくりました。この経験から、問いは万能ではなく、状況に応じて調整が必要なものだと学びました。


人の力を前提にできない環境では、仕組みから整える


このやり方は、人の力や関係性が前提にあったからこそ成立していた面もあったと思います。一方で、その前提に立てない環境では、同じ問いの置き方が必ずしも有効とは限りませんでした。全国展開にあたっては、外部の運用組織とも連携する必要がありました。同じ新機能、同じ目的であっても、前提条件は大きく異なります。現場では理解度や経験にばらつきがあり、自チームで機能していた問いかけは、かえって迷いを生む場面もありました。そこで切り替えたのが、整える順番です。問いを投げる前に、まず判断しなくても進められる状態をつくることを優先しました。

「ここまでは必ず説明する」

「ここから先は踏み込まない」

「迷ったらこの基準に戻る」

こうした点をシンプルに言語化したことで、対応のばらつきや手戻りが減り、現場が安定して回り始めました。安定が生まれてから、ようやく改善の相談や提案が出てくるようになりました。


人と仕組みは両輪だが、回し始める順番は違う


この二つの経験から学んだのは、人と仕組みはどちらも欠かせないが、どちらから回し始めるかは環境によって変わる、ということです。人の力や関係性が前提にある環境では、問いが判断を揃える。そうでない環境では、まず仕組みで迷わなさをつくる。同じ機能、同じ目的であっても、順番を誤ると前に進みにくくなることを実感しました。


最近では、AIの活用についても同じ構造で考えています。正解を求めるのではなく、自分の考えに対して指摘を返してもらう。問いと仕組みの補助線として使うことで、判断の質を保ちながら、考える負荷を下げられると感じています。マネジメントや業務改善に万能な正解はありません。ただ、目の前の環境を見て、問いを置くのか、仕組みを整えるのか。その順番を意識するだけで、現場との向き合い方は少し変わるのではないでしょうか。

 
 
 

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